新年度になりました! 子どもたちは進級や新入学で、ワクワク・ドキドキしているかもしれませんね。わが家では毎年、春休みに前年の教科書や思い出のものを片付けて、次の学年に向けて気持ちの切り替えをしています。
そんな新年度、最初に紹介する絵本は、
「ぼくとママのたからもの」。
ママと主人公のけんちゃんがおもちゃ箱をお片付けする場面のやりとりに、心温まる一冊です。おもちゃ箱から出てきたのは、みかんの皮。「これ捨てていい?」と言うママに、「ダメ。これは、お庭に一つだけなったみかん。パパとママと3人で分け合いっこしたときのものなんだよ。すごく甘酸っぱくて、おいしかった」とけんちゃん。
次に、キャラメルの空き箱を捨てようとしたママ。「これもダメ。このキャラメルを食べて前歯が取れたんだよ。そのとき庭に歯を投げて、いい歯が生えますようにって言ったんだよ」。ママからは、ただのゴミにしか見えない物も、子どもにとっては、うれしかった気持ちがよみがえる宝物なんですね。
最後にはママが、けんちゃんが赤ちゃんだったころの小さな靴を持ってきます。「ねぇママ、この靴ぼくもう履けないのに何で捨てないの?」「これはね、赤ちゃんだったけんちゃんが最初に履いた靴なの。この靴を履いてよちよち歩くけんちゃんの事、ママよく覚えているよ」と、子どもの気持ちに共感します。もう使わなくても、それを見るたびにうれしい気持ちになる物は、やっぱり宝物ですね。
ぼくのことはぼくに任せて
そうはいっても、すべて取っておくわけには…。そんな声が聞こえてきそうですが(笑)、
次にご紹介する絵本は
「おかあさん、げんきですか。」です。
小学4年の主人公・僕は、母の日に手紙を書きます。手紙には、お母さんが勝手に部屋を掃除して、宝物を全部捨てられてショックだったことが書かれています。
ショックで1週間、お母さんと口をきかなかった僕。小石や汚いぬいぐるみ、どんぐりなど、僕にとっては、その物を通した思い出が大切な宝物だったのです。
最後に僕の手紙は、「もう、みんななくなっちゃった。もう、しょうがないけどね。またいろいろたまってきたから、さみしくはありません。心配しないでください。ぼくの部屋のことは、ぼくにまかせてください」と締めくくられています。
子どもは親が思う以上に考えています。思い出を味わいつくし、次の思い出が増えていった時に、自分で物を上手に手放すことができるのかもしれません。新しい年度のスタートに、お片付けと子どもの自立について考える機会にしてみては。