「ふつう」ってありがたい!

あなたは、今の暮らしに感謝していますか?

「ふつうってありがたいことなんだね~」、そんな感想が子どもたちからも出てくる絵本が、マーゴット・ツェマック作の

「ありがたいこってす!」です。

とても貧しく、9人の大家族ながら一部屋しかない狭い家に住んでいる一家の主人。

毎日夫婦げんかで、子どもたちもうるさく、争いばかり。そんな生活がイヤになった主人は、ラビというユダヤの法律博士に相談に行きます。

ラビは「庭で飼っている鶏を家の中に入れて暮らしなさい」と言います。

その通りにすると、家の中はもっと荒れて、ひどくなりました。困り果ててラビに相談に行くと今度は、「飼ってるヤギを家の中に入れて一緒に暮らしなさい」という。

もちろん、家の中はもっと荒れに荒れました。また困ってラビに相談に行くと、飼ってる牛までも家に入れて一緒に住むように伝えます。

指示通りに生活した一家は、数日で耐えられなくなります。そこでラビに訴えると、とうとう「全ての動物を家から出しなさい」と告げました。

その日の夜、哀れな貧しい一家は全員、ぐっすり静かに休むことができました。それからはけんかをすることもなくなり、主人は「ありがたいこってす!」とラビに感謝を伝えるという、ユダヤ民話の教えの物語です。

家の狭さも貧しさも実は、何一つ変わっていません。変わったのは、今までの暮らしが「ありがたいこと」なのだと気付いた家族です。

「ふつう」とは、いつどこにでもあるありふれたこと。

人は、今ある環境を当たり前だと思ってしまいます。健康も当たり前で、病気になったときにありがたさに気付く…。家も同じかもしれません。

 今の環境から目をそむけて不満を持ち、「いつか理想の暮らしを!」なんて考えるだけでは、幸せは手には入らない気がします。「今ある環境で最善を考える」ことが、理想の暮らしを手に入れる近道なのかもしれませんね。